販売先であるエステ会社の間の取引に関するご相談(売買契約、製造物責任法)
依頼者の化粧品の製造販売業者(A社)は、エステ会社(B社)に化粧品を販売しました。ところが、B社のお客さんが、その化粧品のせいで肌にトラブルがおきたとB社に苦情を言ってきました。A社は、そのトラブルは、化粧品を原因とするものではないと判断しましたが、既にB社は勝手に消費者に謝って返金し、化粧品会社にも返金を要求してきました。A社とB社との間の契約には、製品に欠陥がない場合、A社が返品をしなければならない旨の規定はありません。A社はB社に返金しなければならないのでしょうか。
解決への道筋
A社は、B社にその化粧品に欠陥はなかったから消費者に返金する必要はなかった旨を弁護士より説明し、当該エステ会社に返金せずにすみました。
弁護士からの提案
契約による予防が重要です。
返金に容易に応じることが、エステ会社にとっては顧客獲得のためにプラスになる面もあるため、欠陥についてあまり確認せずに簡単に返金してしまうことがあります。
しかし、製造販売業者にとって製品の欠陥を認めることはブランドに関わることなので、顧客からクレームが来た場合は、簡単に欠陥・返金を認めず、肌のトラブルの原因について精査するべき場合が多くあります。エステ会社に簡単に返品をさせるべきではないと考える場合も多くあります。
なお、万一欠陥が発見された場合には、欠陥品がでたことを公開し、謝罪、回収、交換等しかるべき措置をとらなくてはなりません。それにより、被害が拡大することを防ぐことができるだけでなく、非を素直に認め、再発防止・改善に努めているとして、企業の信頼性も高まります。
このようなトラブルは、あらかじめ売買契約を工夫することによって回避することができます。
すなわち、エステ会社が返金したとしても、製品に欠陥がない限り化粧品会社は返金や損害賠償に対応しないことを売買契約に明記することにより、エステ会社が、顧客に返金をしたとしても、肌荒れが当該製品を原因とする者でない限り、化粧品会社に返金を求めることができなくなります。
またエステ会社も、肌のトラブルが当該製品を原因とするものか注意するようになり、容易に返金に応じないようになります。
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