強まるネット広告規制 ニュースレター第13号
2021年11月25日の日経朝刊に、「不適切ネット広告包囲網」という題で、「化粧品や健康食品などのネット広告に使われる誇大・虚偽表現への包囲網が狭まってきた」ことに関する記事が掲載されていました。
私は以前から特に化粧品や健康食品を中心に広告表現のレビューを多数してきましたが、化粧品や健康食品の広告に関連しては、景品表示法や特定商取引法のような一般的な法律に加え、薬機法、健康増進法、食品表示法などこの分野に特有の法律に、「使ってはいけない表現」や、「表示しなくてはいけない事項」があり、規制内容はかなり複雑です。
しかも、法律だけ見ていても線引きはあいまいで、自主規制団体のガイドラインをみてもグレーの部分も多く、業者としては、行政の動きも考慮しながら対処しなければならない状況にあります。そのような中、新聞にあるように「ネット広告に使われる誇大・虚偽表現への包囲網が狭まってきた」、すなわち今までは何もいわれなかったのに違法とされている例が増えていることは私も実感しているところです。
この記事では、「「ズダボロだった肝臓が半年で復活」とうたう健康食品ネット広告を巡り、大阪府警は20年、広告会社と広告主の健康食品販売会社の社員らを薬機法違反容疑で逮捕した。」、いわゆるステラ漢方事件について言及されています。
記事では分かりにくいですが、この事件で重要なのは、広告主だけでなく、広告会社まで違法な広告をしたことを理由に罰金が課されていることです(この点記事は多少不正確です)。すなわち、規制が厳しくなっているということで、広告会社も含め注意しなければならないということです。
私も「これは違法ではないか」と思われる広告表現を新聞、雑誌、ネット等で見かけることがあります。「他社が何もいわれていないから当社も大丈夫」ではなく、行政が取り締まり切れていないだけで違法な可能性もあると考えて厳密に検査することをお勧めします。
2021年12月5日 弁護士 西脇威夫