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エステサロン経営のための法律

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  • #消費者契約法
  • #特定商取引法

1.エステティシャンの資格

エスティシャンを名乗るために必要な免許は特にありません。

しかし、医師以外の者で、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり、きゅう又は柔道整復を業としようとする者は、それぞれ、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許、きゅう師免許又は柔道整復師免許を受けなければならないとされているので、注意が必要です。

美容(パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること)や理容(頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること)(染毛も含む)も資格なしに業務を行うことはできません。

2. サウナ、岩盤浴、泥風呂、酵素風呂等に必要な法律

業として公衆浴場を経営する場合は、保険所長の許可が必要になります。

公衆浴場には、サウナ、岩盤浴、泥風呂、酵素風呂も含まれますので、エステティックサロンがこれらの設備を設置する場合には、保険所長の許可を得る必要があります。

3. 化粧品等の販売

エステティックサロンで、化粧品を販売するためには、医薬品医療機器等法(薬機法)の規制を受ける可能性があります。

国内の化粧品製造販売業者から製品を仕入れて、表示・包装を含め一切変更せず販売する場合は、医薬品医療機器等法上の許可は不要です。

しかしながら、海外から輸入した化粧品を出荷する場合や、自ら又は他社に委託して製造した化粧品を販売する場合には、化粧品製造業許可や化粧品製造販売業許可が必要になりますので、注意しなければなりません。

4. 顧客との契約の締結や終了に関する法律

(1)  特定商取引法(クーリングオフ等)

消費者と事業者(エステティックサロン)との間で締結される施術サービスについて、前払いによる施術サービスの期間が1ヶ月を超え、かつ入会金や消費税等を合算した総額が5万円を超える契約を結ぶ場合には、特定商取引法上の様々な規制があります。

たとえばクーリングオフは、消費者は、エステティックサロンと役務契約を締結してしまった後でも、契約書を交付された日を含めて8日間以内であれば、エステティックサロンに対し書面によって契約を解除することができる制度です。

エステティックサロンは、解除されたからといって、損害賠償を請求することはできません。

また、クーリング・オフ期間を過ぎても、エステティックサロンに解約料を支払って、契約を中途解約することができます。

なお、解約損害金は、役務の契約残額(入会金等を含む)の合計10%以内(最高限度額2万円以内)と決まっています。

たとえば、20回のサービスのために、40万円を支払ったとします。しかし、3回通ったところで、気が変わり、やめることにしました。
その場合は、契約の残額は、2万円(40万円/20)×17=34万円なので、その10%は3万4000円になります。
上記の通り最高限度額は2万円なので、本件は、解約損害金は2万円になります。
また既に受けた3回分(2万円×3=6万円)は返ってきませんので、それも含めると、支出は8万円になります。

クレジットで分割払いにしてある場合も、信販会社に支払い停止を通知して、支払いをやめることができます。差額を精算をしなければならない場合は、原則として顧客とエステ会社の間で行います。
すなわち、違約金の金額よりもクレジットの分割金を支払っている場合は返してもらい、違約金の金額が、信販会社に対する分割金支払総額よりも大きい場合は追加で支払うのです。

特定商取引法には、他に、契約に際して、①概要書面(事前説明書)の交付、②契約書面の交付、③中途解約のルールなど、必ず守らなくてはならない規制があります。

その他、誇大広告の禁止、不実告知、威迫・困惑等の行為の禁止、書類の閲覧等の義務付け、指示、業務の停止等についても規制されています。

(2)  消費者契約法(不実告知等)

例えばエステティックの内容や効果、費用について、事実とことなることを伝えたり、専門用語を並び立てて顧客の理解できるような言葉で説明せずに契約を締結した場合は、顧客は契約を解除することができます。

上記のクーリング・オフや中途解約についての説明を怠った場合も同様です。

5. エステサロンの広告

エステサロンで提供するサービスや販売する商品の品質や内容等について著しく優良であると誤認させるおそれのある表示や、商品やサービスの価格や取引条件等に関して実際よりも著しく有利であると誤認させるおそれのある表示、その他誤認させるおそれのある表示は、景品表示法によって禁止されていますので、注意が必要です。

6. エステサロンに必要なものの購入、リース等

開業・営業するにあたり、施設を借りたり、必要なものを購入したり、リースをしたりする必要がでてきます。これらには民法や商法の法律が適用されます。

相手方が出してくる契約書は相手方に有利にできているのが通常ですので、内容を吟味の上、自分に不当に不利な条項が何か確認し、あればその修正を要請しなければなりません。

またそもそも自分たちのやろうとしていることが、違法にならないのかについても確認が必要です。

7. 従業員の雇用

従業員を雇用するのであれば、労働法規に違反しないようにしなければなりません。

労働法に違反していると、労基署の立ち入り検査を受けたり、また従業員から訴えられたりするリスクがあります。

例えば、未払いの残業代は、法律上支払わざるを得なくなることも多く、その場合はまとめて請求されてかなりの多額になることもあります。そのような想定外の請求は経営に大打撃となる可能性もありますので、きちんと対応しておく必要があります。

特にもめて退社するときに紛争になることも多くあります。退職の時にもめることは通常よく起こり得ることですので、自社は大丈夫などと軽く考えないことが重要です。

また社会保険等の手続きも怠ってはいけません。