化粧品製造販売業許可について
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国内の化粧品製造販売業者から製品を仕入れて、表示・包装を一切変更せず販売する場合は、医薬品医療機器等法上の許可は不要です。例えば化粧品製造業許可・化粧品製造販売業許可を有するOEM企業や化粧品メーカーから、製品を購入して販売するだけの場合は、化粧品製造販売業許可は不要です。
しかし、他の方法で化粧品を販売・授与する場合は、該当する許可が必要になります。
そもそも、「「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。」と定められています。(薬機法第2条3項)
そこで、人体への影響は緩やかに止まるよう、製造時に高い安全性が確保されることが重要視されます。
製造販売業許可と製造業許可とは
許可には製造販売業許可と製造業許可の2種類があります。その概略は下記となります。
許可の種類 | 概要 |
製造販売業許可 |
製品を市場へ出荷するための許可であり、この許可では製造を行うことはできない。 |
製造業許可 |
製品の製造(包装、表示、出荷判定前の保管を含む)を行う許可であり、この許可では製品を市場へ出荷することはできない。 |
事業形態により必要となる許可
形態 | 必要となる許可 |
国内で製造した製品を出荷する場合 | 国内で製造した製品を出荷する場合 |
自社で製造し、自社の製品として市場へ出荷する場合 |
化粧品製造販売業許可 化粧品製造業許可(許可区分:一般) |
化粧品製造業許可を有する他社に製造を委託し、自社の製品として市場へ出荷する場合 | 化粧品製造販売業許可 |
自社は製造のみ行い、化粧品製造販売業許可を有する他社の製品として市場へ出荷する場合 | 化粧品製造業許可(一般 又は 包装・表示・保管) |
海外から輸入した製品を出荷する場合 | 海外から輸入した製品を出荷する場合 |
自社で輸入し、自社の製品として市場へ出荷する場合 |
化粧品製造販売業許可 と 化粧品製造業許可(許可区分:包装・表示・保管) |
化粧品製造業許可を有する他社に輸入を委託し(製品の保管を伴う場合に限る。)、自社の製品として市場へ出荷する場合 | 化粧品製造販売業許可 |
自社は輸入のみ行い(製品の保管を伴う場合に限る。)、化粧品製造販売業許可を有する他社の製品として市場へ出荷する場合 | 化粧品製造業許可(許可区分:包装・表示・保管) |
化粧品製造販売業許可申請手続き
それでは具体的に化粧品製造販売業許可のために何が必要なのでしょうか。以下、許可に必要な要件の概略について簡単にご説明します。
1,総括製造販売責任者の設置
「化粧品の製造販売業者は、化粧品の品質管理及び製造販売後安全管理を行わせるために、化粧品の製造販売業者にあっては厚生労働省令で定める基準に該当する者を、置かなければならない。」とされています。(医薬品医療機器等法第17条第1項(抜粋))
総括製造販売責任者は、後に説明しますGQP省令やGVP省令で設置が求められる品質保証責任者や安全管理責任者を統括し、品質管理や安全管理の全てについての総責任者となります。従って、総括製造販売責任者については、下記のいずれかに該当するよう資格要件が定められています。
総括製造販売責任者の資格要件(施行規則第85条第2項)
化粧品製造販売業の総括製造販売責任者は、次の各号のいずれかに該当する者とする。
一 薬剤師
二 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
三 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品又は化粧品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に3年以上従事した者
四 厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
2,GQP省令に適合していること
GQP省令とは、医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令(平成16年9月22日厚生労働省令第136号)の略で、簡単にいうと、製造においてきちんとした品質管理・製造管理をしているかについて定めています。GQP省令により、下記のことが求められます。
品質保証責任者の設置
品質保証責任者には、販売総括責任者のような資格要件はありませんが、化粧品の場合、下記に該当する者であることが求められています。
一 品質管理業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること。
二 医薬品等又は医療機器の販売に係る部門に属する者でないことその他品質管理業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。
品質保証責任者は、品質管理業務を統括し、必要に応じ、総括製造販売責任者への文書による報告や、製造業者等への文書による連絡および指示を行うことが主な業務となります。
そして、品質管理業務手順書に基づき、次に掲げる業務を行わなければならないとされています。
- 市場への出荷に関する記録を作成すること。
- 製造販売しようとする医薬部外品等が製造業者等において適正かつ円滑に製造されたものであることを確認し、その記録を作成すること。
- 製品に係る品質等に関する情報を得たときは、当該情報に係る事項による人の健康に与える影響に関する評価、原因の究明を行い、改善が必要な場合は所要の措置を講じ、その記録を作成すること。
- ③の情報のうち安全確保措置に関する情報を安全管理責任者に遅滞なく文書で提供すること。
- 製造販売する医薬部外品等の品質不良又はそのおそれが判明した場合には、回収等所要の措置を速やかに実施し、その記録を作成すること。
- その他必要な品質管理業務に関する業務
許可申請にあたっては、これらの業務がしっかりと行われることを示すよう手順書を作成しておく必要があります。
3,GVP省令に適合していること
GVP省令とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成16年9月22日厚生労働省令第135号)の略で、こちらは簡単にいうと、製造販売後の安全管理について定めています。
【安全管理者の設置】
当省令に基づき、安全管理責任者の設置が求められます。
安全管理責任者は、安全管理情報の収集、検討及びその結果に基づく安全確保措置の立案及び実施運用に責任を負います。
【安全管理責任者の要件】
(GVP省令135第15条で準用する第13条2項)
- 総括製造販売責任者の監督下にあること。
- 安全確保業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する人員を十分に有すること。
- 医薬品等の販売に係る部門その他安全確保業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれのある部門から独立していること。
【安全管理者の主な業務】
- 安全確保業務を統括する。
- 安全確保業務が適正かつ円滑に行われていることを確認し、その記録を作成し、保存する。
- 安全確保業務の遂行のために必要なときは、総括製造販売責任者に文書により報告し、その写しを保存する。
GQPと同じように、業務手順書の基づき下記の業務を行うことが求められており、許可申請にあたり、これらの手順書の準備が必要となります。
(1)安全管理情報の収集
- 消費者、販売店等からの情報
- 医療関係者からの情報
- 学会報告、文献報告その他研究報告に関する情報
- 厚生労働省その他政府機関、都道府県及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」とする。)からの情報 外国政府、外国法人等からの情報
- 他の製造販売業者等からの情報
その他の安全管理情報
(2)安全管理情報の検討
安全管理責任者は、収集した安全管理情報を遅滞なく検討し、その結果を記録すること。
また、安全管理情報のうち、品質保証責任者が把握する必要があると認められる場合にあっては、当該安全管理情報を品質保証責任者に遅滞なく文書で提供すること。
(3)安全確保措置の立案
安全管理責任者は、安全管理情報を検討した結果、必要と認めるときは、廃棄、回収、販売の停止、添付文書の改訂、情報の提供又は法に基づく厚生労働大臣への報告(副作用等報告、回収報告等)その他の安全確保措置を立案し、その案を総括製造販売責任者に文書により報告すること。また、その写しを保存すること。
(4)安全確保措置の実施
なお、一定要件においては、総括製造販売責任者が、品質管理責任者や安全管理責任者を兼務できることがあります。
4,申請者の欠格要件
許可にあたり、申請者についての要件として、下記の欠格要件に該当しないことが求められます。(薬機法第12条の2第2項)
イ 第七十五条第一項の規定により許可を取り消され、取消しの日から三年を経過していない者
ロ 第七十五条の二第一項の規定により登録を取り消され、取消しの日から三年を経過していない者
ハ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた後、三年を経過していない者
ニ イからハまでに該当する者を除くほか、この法律、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があつた日から二年を経過していない者
ホ 麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
ヘ 心身の障害により薬局開設者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
ト 薬局開設者の業務を適切に行うことができる知識及び経験を有すると認められない者
まとめ
以上、申請にあたっては、各責任者を用意し、業務手順書、申請書、添付書類を作成し、各都道府県の薬事課に申請することになります。
書類の記載内容や申請方法など詳細については各都道府県により異なるので、逐一確認することが必要となります。
当記事の内容はあくまで概要について述べるものにとどまり、最新の法規への適合を保証するものではありません。許可申請のお手伝いもいたします。具体的には直接当事務所までお気軽にご相談ください。