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個人輸入代行業を行う際に注意するポイント

  • #個人輸入代行業

化粧品やサプリメントを輸入したい

海外には日本未発売の魅力的なブランドが多くあり、インターネットで日本にいながら購入できるため、自ら化粧品やサプリメントなどを輸入し販売したいと考えるかもしれません。

しかし、医薬品、医薬部外品(※)、化粧品及び医療機器等は、医薬品医療機器等法の規定により、厚生労働大臣の製造販売業の許可を受けた者でなければ、業として輸入してはならないことになっています。

販売を目的としない、一般の個人が自分で使用するために輸入(いわゆる個人輸入)する場合(海外から持ち帰る場合を含む。)、または医師・歯科医師が自己の責任の下、自己の患者の診断や治療に使用するために輸入する場合は、原則として、地方厚生局に必要書類を提出して、当該輸入が販売等を目的としていないことの確認を受けた証明書(輸入確認証)の交付を受け、税関への輸入申告の際に提示する必要があります。

ただし、輸入する医薬品等を個人が自ら使用することが明らかであって、化粧品であれば標準サイズで一品目につき24個以内であれば、輸入確認証の交付を受けることなく、輸入することができます

逆にいえば、製造販売業の許可を受けることなく、輸入確認証の交付を受けることもなく、化粧品を輸入するのは、この場合に限られるということです。なお、人体を洗浄するための石鹸やシャンプー、歯磨き類、染毛剤、浴用剤等も医薬部外品や化粧品に該当するので、この制限(医薬品及び医薬部外品については、別の制限があります)が適用されます。

このように、製造販売業の許可を受けないで化粧品を輸入するのは、医師・歯科医師でなければ、自分で使用するために限定されます。したがって、製造販売業の許可を受けないで輸入した化粧品を、日本で転売する行為は、違法になります。メルカリやアマゾンで販売するのも違法です。

個人輸入代行業とは

一方、製造販売業許可を持っていない個人輸入代行会社というものも存在します。インターネットで、個人が日本にいながら海外のサイトから購入できるとしても、その手続きを一切代行する会社です。

しかしながら、日本で未承認のサプリや化粧品を輸入したり、製造販売業の許可や輸入確認証の交付を受けないで、化粧品を輸入・販売する脱法行為として利用されるようになり、さらには健康被害の事例の報告が相次ぐようになり、問題視されるようになりました。

そのような状況の中、「ある化粧品を、顧客のために自社で個人輸入をして手数料を取りたい。その化粧品は外国のメーカーから本人に直送してもらえば、可能か」という趣旨のご質問を時々受けます。

注意しなければならないのは、自社のウェブサイトで「この化粧品」を特定して、輸入代行をうたうことはできないということです。メーカーから依頼者に直送されるとしても、不特定多数のものに希望を募ること自体が、違法になります(下記「2.能動的手続代行行為」をご参照ください)。

広告に該当することを逃れるために、商品の名称の一部を伏字にする、ぼかす、または写真や画像イメージのみを表示するという手法が用いられている場合でも、金額を示すなど商品に対する顧客誘因性が認められる場合であって、当該商品の認知度、不随している写真及説明書き等から特定の医薬品であることが認知できる場合は、広告に該当するため、違法と判断され得ます。

厚労省のウェブサイトで、以下のとおり、個人輸入代行業が、無許可輸入に該当する事例等、違法となる場合が紹介されています。

 個人輸入代行業の指導・取締り等について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

当見解は、医薬品に関してではありますが、健康食品・サプリメント・化粧品についても概ね同様の見解がとられると考えられます。以下は、上記厚生労働省のウェブサイトからの引用です。

1.業者による輸入行為

  1. 輸入代行業者は、無承認医薬品である商品のリストを不特定多数の者に示し、その輸入の希望を募る。注1)
  2. 消費者は、輸入代行業者の提示するリスト中の特定の商品の輸入手続きを依頼する。
  3. 消費者は、輸入代行業者の手数料が上乗せされた価格を支払う。
    輸入代行業者は、予め注文を見込んで個人使用目的として輸入していた商品を消費者に渡すか、又は消費者の依頼に応じて自らの資金で商品を輸入し、消費者に渡す。注2)

注1)商品リストが無承認医薬品の広告に該当する場合、薬事法違反となる。なお、商品名が伏せ字などであっても、当該商品の認知度、付随している写真等から総合的にみて広告に該当すると考えられる場合は、薬事法違反となる。
注2)輸入販売業の許可が必要となるため、許可なく行えば薬事法違反となる。

2.能動的手続代行行為

  1. 輸入代行業者は、無承認医薬品である商品のリストを不特定多数の者に示し、その輸入の希望を募る。注1)
  2. 消費者は、輸入代行業者の提示するリスト中の特定の商品の輸入手続きを依頼する。
  3. 消費者は、輸入代行業者の手数料が上乗せされた価格を支払う。
  4. 輸入代行業者は、預かった代金等をとりまとめ、送付先等リスト(消費者の氏名、現住所等)とともに、外国の販売業者に送付する。
  5. 外国の販売業者は、消費者に対し、直接商品を送付する。注2)

注1)商品リストが無承認医薬品の広告に該当する場合、薬事法違反となる。なお、商品名が伏せ字などであっても、当該商品の認知度、付随している写真等から総合的にみて広告に該当すると考えられる場合は、薬事法違反となる。
注2)消費者=輸入者

3.受動的手続代行行為 (違反なし)

輸入代行業者は、消費者の要請に基づき個別商品の発注、支払い等の輸入に関する手続を請け負うものであり、商品の受け取り等の輸入の効果が消費者に帰属する場合。
受動的手続代行行為

  1. 消費者は、輸入代行業者に希望する商品の輸入を依頼する。
  2. 消費者は、輸入代行業者の手数料が上乗せされた価格を支払う。
  3. 輸入代行業者は、預かった代金等をとりまとめ、送付先等リスト(消費者の氏名、現住所等)とともに、外国の販売業者に送付する。
  4. 外国の販売業者は、消費者に対し、直接商品を送付する。注1)

注1)消費者=輸入者

(参考)代行業者不在型の個人輸入

おわりに

個人輸入はあくまで個人使用目的であるので、間に入る業者はあくまで手続きの代行のみをする者というのが基本的な考え方となると思います。

個人の使用目的で輸入するのであれば個人の自由ともいえるので、自己責任の範囲で認められています。手続きの代行だけであれば、その範囲内という判断だと思います。

しかしながら、不特定多数の者に希望を募ることは、日本国民の健康及び安全に悪影響を与えうるものであり、許せば薬機法の趣旨が失われてしまいます。

もし、お考えになっている個人輸入や個人輸入代行業が合法か違法か確信が持てない場合は、どうぞご相談ください。