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輸入品に欠陥があった場合の責任

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輸入品に欠陥があり、顧客から輸入販売をした当社に対して損害賠償請求がされました。製造元は、その欠陥について責任がないといって全く取り合ってくれません。
当社が全て責任を負わなければならないのでしょうか。 

弁護士からのポイント

契約時に取り決めるのが基本

そもそも、契約を締結する段階で、輸入品に欠陥があることが判明した場合どのようにするのかについて交渉し、契約書に規定しておくのが通常です。

欠陥が生じた時期や原因、欠陥の内容によって、どちらの費用負担でどのような対応(交換、返品、返金)をするのか、事故があった場合はどの範囲まで責任を負うのか、あらかじめ決めるのです。

欠陥の責任がどちらにあるか分からない場合もあるので、そのような場合にどちらが責任を負うのかについても規定します。

購入者から輸入会社に損害賠償請求がされた場合

それでは、顧客から輸入した会社に損害賠償請求がされた場合はどうなるのでしょうか。契約は製造者と輸入者との約束事ですから、契約に関係のない消費者からの請求を止めることはできません。

輸入者が消費者に支払った損害賠償金の金額を、契約によりメーカーに請求できるように、製造者と輸入者との間の規定することはあります。これによって実質的には損害賠償を支払わないですむことになります。しかし、消費者に対する責任を逃れることはできません。

日本には「製造物責任法(PL法)」があり、原則として、「客観的に見て製品に欠陥があれば製造業者等は責任を問われる」ことになります。

民法では、損害賠償責任を負うのは、原則として故意又は過失があったこと、すなわち注意義務を果たさなかったことを被害者が立証した場合です。しかしそれでは消費者の保護として十分ではないため、客観的に製品に欠陥があれば原則として製造業者等が責任を問われることになりました。

製造物責任法の「製造業者等」とは、メーカーなど製造した者はもちろん、輸入製品の場合は、輸入者も含まれます。つまり、欠陥品を輸入して販売した場合、製造物責任法上の責任を追求されます。

輸入者にとっては酷なように感じるかもしれませんが、法は、一消費者が海外の会社に対し損害賠償請求をするのは困難であるため、消費者の保護という観点から、輸入者に責任を負わせるのが妥当と考えているのです。

従って輸入者は、消費者に販売する前に、当該製品に欠陥がないか責任をもって確認しなければなりません。

上記のとおり、製造物責任法により、被害者である消費者との関係では輸入者が被害者に責任を負わざるを得なくなることがあります。

輸入者としては、万一事故が起きた場合に被害者に支払った損賠賠償について、製造者に求償できるように契約を作成します。

また、製品の引渡しを受けた時に、製品に欠陥がないかどうかを検査することはもちろん、海外の製造者に対し、「通常予見される使用形態を基にした製造設計」「製造ミスの防止」「事故防止用の警告表示」を確認して、事故の発生を防止することも重要です。

しかし、検査でみつからない欠陥もありますし、契約での取り決めだけでは求償できない場合もあり得ます。そこで、輸入者も製造者もPL保険に加入することも多く、支払を確保するために、契約に製造者や輸入者に一定のPL保険に入ることを義務付けることもあります。